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むずかしい業者えらび
お客様の中には、ご自身が「本当に何を必要としているのか」という事に気づいていないケースが多くあります。
家に関する悩みを抱えた人たちは、これまで知り合いの大工さんなどで工事をしてきましたが、満足のいく結果が得られなかったという事例がありました。
なぜ満足できなかったのか?その理由を尋ねてみると、「いろいろと相談してみたが、出来上がったものが、こちらのイメージしていたものと違っていた。」というのです。
原因を探っていったところ、うまく行かなかったケースでは、相手の方が「モノ目線」でしか希望を叶えてくれなかったという点が大い事でした。
つまり、<キッチンを取り替える><壁を張り替える><カーポートをつくる>というお客様が考えられるテーマーを話したところ、そのことだけが目的になって、その希望の裏側にある「なぜそうしたいのか」ということを考えてくれないため、確かにいったことはやってくれましたが、それ以上のことはなかったのです。
例えばこのようなケースです。
「キッチンを交換したい。」という要望があり知り合いの大工さんに相談しました。
変えたい理由は、自分1人になってしまった実家の母親のために、息子夫婦が一緒に同居することになり、母親は同居してくれる息子のお嫁さんのために自分が使って古くなったキッチンを、同居に合わせてせめて新しくしてあげたいと思い相談したのです。
そして大工さんの持ってきた内容は現在と同じ場所の壁に向いたままのキッチンプランでした。
確かに「キッチンを交換したい。」という希望は満たしています、しかし何か物足りなく思ったお客様は私どもに相談されたのでした。
現場を拝見し、お母さん、お嫁さんとそれぞれ別にヒアリングをしたところ、お互いに新生活に対して共通の「不安」というキーワードが見つかったのでした。
お母さんは同居して一緒にキッチンに立つ機会が増えることにお嫁さんが気を使うのでは、という「不安」と、お嫁さんは、自分が育った家ではないので、勝手に出来る振る舞える訳ではなく、また台所専用空間になっているキッチンでの孤独な作業が「不安」だったのです。
この共通する「不安」の解決方法は、お二人だけの問題にしないで、息子さんや、お子さんを巻き込んで、お互いの「気遣い」を分散させることでした。
それはお互いに顔が見れて話も出来て孤独ではない空間をつくることでした。
ですからリビングに隣接する孤独な所の仕切りを取り外し、リビングと一体にして、開放的な空間でいつでもみんなの顔が見えるようにキッチンも対面に変更し、大きな造作の食卓テーブルで子供たちの勉強や工作をみてあげられるようにスペースをつくり、新しくお嫁さんの「居場所」をつくったのでした。
お嫁さんが「気を使うのでは」というお義母さんの「気遣い」は、お嫁さんが自分居場所を見つけたことと、自分も息子や孫との会話の中で解消していったのです。
このように私たちはカウンセラーのような役割も担うこともあります。
心理を読み、話す言葉の裏にかくされた本当のキーワードを見つけ、どのような解決方法があるのかを一緒に探っていくことで、物質的な満足と精神的な満足の両方が満たされるプランに近づけていきます。
「十人いれば十人十色」まったく同じことはありません。
私たちが提案とプラン作成のなかでもっとも多くディスカッションに時間をかける事はこの理由があるからなのです。