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使い捨てのリフォーム・長く使うリフォーム
これまで日本の住宅は、建てて20年から25年で資産価値がゼロになると言われ、造っては建て替えるという発想が主流でした。
近年、そんな使い捨ての発想はおかしいという機運が高まりを見せ、平成18年(2006)には住生活基本法によって、良質で長寿命の住宅を増やすことや、すでにある住宅の資産価値を維持・向上させるという方針が決定されました。
日本の住宅も欧米のように「良いものをつくり、きちんと手入れをして長く使う」という方向に転換したのです。
それからほとんどの地区で、ゴミが有料、分別も当たり前になり、社会は省エネとリサイクルの時代に入ってきています。
しかし消費に関しては、良いものを長くというよりも、100円ショップのように安いものを繰り返し買うという傾向もまた存在しております。
ただ住宅においては、時間と費用がかかるため、繰り返しやり変えるという考え方はありません。
ですから一度工事をした場所はよほどの理由がない限り20年位は手を入れないのが普通でした。当時の製品は長期の使用に耐えられることを前提につくっていました。
しかし最近では全体的なコストダウンを図るため、完成の見た目にはわかりませんが、中身が大きく異なる、つまり快適性や長持ちの部分で違いがある製品がたくさん出回ってきていて、特に設備機器はモデルチェンジも激しく、キチンと勉強をしていないとメーカー営業ですら違いを把握できなくなっています。
住宅の中で最もコストがかかり、また需要が多いリフォーム場所はトイレ・洗面・浴室・キッチンなどの水まわりです。
戸建の一生を考えた場合1~2度リフォームの時期が訪れます。交換の理由で多いことは耐久性や清掃性が悪くなってきた事が一番ですが、家族構成の変化・周辺住宅事情の変化なども理由のひとつとなっています。
そして、その時に決める内容が、その後の使い勝手の10年間を左右するのです。
ただこの大事な決断の時に内容を十分理解して、今のその家庭に「合っている」その環境に「合っている」設備の選択が完全に成されているということは意外に少ないようです。
それは以前は現在のように機器を選択する種類も少なく、何より工務店の棟梁が自分の腕や仕事に誇りをもっていたので工事を頼む方も信頼して、おまかせの時代から、現在のような家電製品を買う感覚のように「安いからこれにしよう」と表面に見える形や金額に左右されて選択するという時代に変わってしまったことに原因があるようです。
見た目の華やかさで選択するため現状の把握と適材適所の判断ができずに、また、担当の営業も責任感よりも売上のみを優先し、早く契約して着工するというビジネスサイクルになっているため。十分な説明と現状の理解をする時間がないのもまた原因です。
確かにこれは今まで不透明だった建築社会をより分かりやすく解説してきたという点では評価すべきところですが、専門性のある垣根を越えて、建築をおまり知らない「営業マン」がすぐに参入出来るような業界になってしてしまったことにも問題があるようです。
建築業界のみならず、なにかを選択する時にも情報が多すぎて、どれがベストチョイスなのかを判断することが、非常に難しい時代になりました。
では建築に関してはどうしたら良いかですが、大きく分けて2つの選択肢があります。
ひとつは、なるべく「安価」な商品を見つけて改修サイクルを「短く」取るという考え。
これは将来の家族構成の変化などが予想される場合に、またその時点で改修を行うためそれまで持てば良いという、「使い捨て」のサイクルです。
そしてもう一つはより「長い将来」を見据えて、選択する物もじっくりと吟味をして納得したものを使うという「長く使う」サイクルです。
前者のサイクルが7年で後者のサイクルが15年位でしょうか。
つまり7年単位の場合は15年の間に2回改修を行うということになります。
商品コストを考えれば平均1.5倍。建築コストでは2倍近くなります。
これはどちらの選択が正しいのかは、現在の状況によって判断されます。
さらに建築では、実際に工事を行う職人の「腕」それを確実に管理する監督の力量と、今回の話題の材料(材木・設備機器・床材等)の選択の重要性の面があり、この適切な選択がその後を大きく左右するのです。
商品の目利き・施工の目利き。
お客様には難しい選択がたくさんありますがそのような内容も含めて、専門家として対応させていただいております。